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研究室について

About Us

教授:長谷部 靖

専門分野:

バイオセンサ、電気化学分析

担当科目:

生体機能学、免疫学、基礎化学、展開化学、基礎化学実験 など

所属学会:

国際電気化学会(ISE)、電気化学会、化学センサ研究会、日本分析化学会、FIA研究懇談会、日本化学会

研究の醍醐味

世の中には、実にさまざまなタイプの研究者が存在します。それぞれが異なる立場や役割のもとで研究活動に取り組んでいます。研究者を音楽家にたとえるなら、オーケストラの楽団員のように役割を分担しながら壮大なシンフォニーを奏でる者もいれば、それを統率する指揮者のような存在もいます。また、数名の仲間と息の合ったハーモニーを生み出すアンサンブル奏者のような研究者もいれば、ひたすら自身の技術と表現を磨き続けるソリストのような研究者もいるでしょう。いずれにしても、研究分野の発展にとって大切なのは、多様な研究者がそれぞれの立場から成果を発信し続けることだと私は考えています。特許、学会発表、研究論文、そして実用化といったさまざまな形で成果が継続的に世に示されることが、学問の進歩を支えているのです。私は1992年から埼玉工業大学でバイオセンサの研究を続けてきました。学部生が中心の小規模な大学で、基本的に一人で研究室を運営するという環境の中で、私自身が感じてきた研究の醍醐味を、ここでは二つ紹介したいと思います。


 一つ目は、「遊びのセンス」、すなわち興味本位から始まるテーマ設定です。企業や大規模な研究組織で研究に携わる方々からは、少し自由すぎる考え方だと感じられるかもしれません。しかし、現在の環境で研究を続ける私の原動力は、まさにこの「遊び心」にあります。簡単に言えば、「自分が楽しいと思えることをやる」という姿勢です。私は薬学を背景に持ち、生命現象そのものに強い興味を抱いてきました。子どもの頃には昆虫採集や生き物の飼育が大好きで、自然の不思議に魅了されていました。現在取り組んでいるバイオセンサの研究にも、自然現象を解き明かそうとする自然科学の要素が数多く含まれています。特に、タンパク質に代表されるバイオ分子の働きには、今でもどこか神秘的な魅力を感じています。酵素反応や抗原抗体反応といった現象は、教科書では簡潔に説明されていますが、分子の形や動きを想像しながら「なぜ起こるのか」「どのように起こるのか」と考えてみると、実は不思議で分からないことが数多く残されています。バイオセンサ研究では、バイオ分子を人工的な表面に固定化したり、電圧を加えたりと、本来細胞の中で働いている分子にとっては少々迷惑とも思える操作を行います。たとえるなら、バイオ分子を地球人、研究者を宇宙人と考えれば、地球人が宇宙人に連れ去られ、異次元の世界で勝手な実験をされているような状況かもしれません。では、このような不自然な環境に置かれたとき、バイオ分子はどのように振る舞うのでしょうか。そうした想像をめぐらせていると、小さな研究室であっても情熱を持って取り組める興味深いテーマは、身近なところにいくつも転がっているように思えてくるのです。


 二つ目は、研究における「芸術性」です。大学における自由な研究の最終的な成果が学術論文であるとするならば、それを完成させるためには論理的思考力や創造力だけでなく、感性や想像力もまた欠かせない要素だと思います。研究テーマの設定から始まり、学生への実験指導、データの解析、そして論文の執筆に至るまで、一つの学術論文をまとめ上げるには多くの工程が存在します。これらをほぼ一人で担う環境では、研究者自身の感性や個性が研究の結果に大きく反映されます。だからこそ、完成した学術論文を手にしたときの喜びは格別です。それは、画家や音楽家、作家といった芸術家が、世界に一つしかない作品を完成させたときに感じる達成感や満足感と、どこか共通するものがあるのではないかと感じています。研究とは、厳密な科学であると同時に、研究者の感性が生み出す一つの創作でもあるのです。

長谷部 靖

研究テーマの変遷

私の研究は、1986年の学部生時代から現在に至るまで約40年にわたり、「生体分子の新しい働きを見つけて・利用する」という一貫したコンセプトのもとで発展してきました。

研究の出発点は、東北大学薬学部および大学院における包接化合物や光興奮人工膜の研究です。その後、アメリカ・アラバマ大学では人工ホスト分子の設計に取り組み、分子レベルで機能を創出するという発想の基盤を築きました。

1992年に埼玉工業大学に着任してからは、生体分子を利用したバイオセンサーの研究を本格的に開始しました。当初は、酵素や化学増幅を利用した高感度バイオセンサーの開発に取り組みましたが、その過程で、酸素運搬タンパク質であるヘモグロビンがカーボン電極上で電気化学的に酸素を水へ変換する触媒能を示すなど、生体分子の新しい働きを見いだしました。このような発見は、生体分子を単なる生体成分としてではなく、機能性材料として利用する研究へと展開していきました。

2007年頃からは、研究対象や手法をさらに広げ、DNAを遺伝子としてではなく電子ワイヤーやタンパク質固定化フィルムとして利用する研究、カーボンフェルトを用いた三次元電極による高感度フロー型センサーの開発などに取り組んできました。また、タンパク質の配位子交換や計算科学による構造予測を活用し、本来の機能を人工的に改変する研究も進めています。

現在は、これまでに得られた知見を基盤として、社会実装を見据えたデバイス開発へと研究を展開しています。例えば、汗や体液で発電する酵素式バイオ燃料電池の原理を利用した自己発電型バイオセンサーや、バイオマス由来カーボン、紙や鉛筆といった身近な材料を活用した環境調和型のウェアラブルデバイスの開発に取り組んでいます。

このように、私の研究は、基礎的な興味から出発して生体分子の新しい機能を見いだし、その現象をバイオデバイスとして応用するというサイクルを繰り返しながら発展してきました。今後も、生体分子の未知の働きを探求し、それを社会に役立つ新技術へとつなげる研究を進めていきたいと考えています。

学位(博士)論文

顧 婷婷(Tingting Gu)

学位授与:2006年 3月

DNA-poly(amine) complex membranes as novel bio-recognition interfaces for amperometric biosensors

王 月(Yue Wang)

学位授与:2011年 3月

Biomolecule-functionalized carbon felts: Applications in electrochemical flow-biosensors

焦 澤婷(Zeting Jiao)

学位授与:2025年 3月

Electrochemical biosensors based on the stabilization effects of organic dyes toward adsorbed enzymes

海外共同研究者

海外共同研究者

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Ph.D 王 月(Yue WANG)

中国、遼寧科技大 准教授

専門分野:

電気化学センサー、スーパーキャパシタ

有機合成、人工筋肉

王月准教授は、電気化学センサー、スーパーキャパシタ、有機合成、および人工筋肉を主な研究領域としています。

特にセンサー分野では、モリブデナイトや酸化グラフェン、さらには黄鉄鉱や黄銅鉱といった天然鉱物を活用し、カテコールやフェノール誘導体、アスコルビン酸、過酸化水素を高感度に検出するバイオセンサー開発に注力しています。

また、ハス繊維を用いた湿度・水応答型の伸縮・ねじれ型人工筋肉の研究など、高度な材料工学に基づいた生体模倣材料の開発も進めています。

日本や米国の大学との国際共同研究も積極的に展開、遼寧省自然科学学術成果賞を複数回受賞するなど、機能性材料の創出と応用において優れた研究成果を挙げています。

博士課程

宮 嘉駿

(Jiajun GONG)

研究テーマ:

カーボン電極への酵素の簡便・安定な固定化法の探索と電気化学式バイオデバイスの開発

#固定化酵素 #電気化学計測 #バイオセンサー #バイオ燃料電池

幼い頃から、化学反応の鮮やかさと、ものづくりの喜びに魅了され、酵素が電極上で働く仕組みに深い関心を抱くようになりました。バイオ反応で電流が流れる瞬間には、生体分子と電極との精巧な対話を実感します。より高性能な酵素型バイオデバイスの研究を進め、ヘルスケアやグリーンエネルギー分野への貢献を目指しています。

鄺 立川

(Lichuan KUANG)

研究テーマ:

機能改変を誘導するリガンドとタンパク質の結合相互作用解析と機能改変機構の解明に関する研究

#バイオ電気化学 #分光分析 #分子シミュレーション #分子動力学解析

電気化学およびバイオ関連材料に関する研究を行っており、特に生体分子間相互作用の解析や、分子レベルでの挙動理解に関心を持っています。現在は、電気化学、分光学、分子シミュレーションなどの多角的なアプローチを用いながら、機能性バイオシステムの理解を目指した研究に取り組んでいます。

柴田 亜蓮

(Aren SHIBATA)

研究テーマ:

ハンディ型フレキシブル電極の作製と身体装着型・自己発電式バイオセンサーへの応用

#フレキシブル電極 #バイオマスカーボン #ヘルスケアデバイス

動物をはじめとする生き物全般が好きで、休日はよく動物の動画を見たり、実際に触れ合ったりして癒やされています。趣味は昆虫飼育で、小さな命が成長していく様子を日々観察することにやりがいを感じています。生き物の世話で培った「観察力」と「好奇心」を武器に、研究室での実験や活動にも全力で取り組んでいます。

研究室メンバー

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